身元確認作業
身元確認作業 平成23年6月12日
6月12日「歯の健康フェスタ」の表彰式途中、「東日本大震災」の身元確認作業に県歯会から派遣される形で宮城県へ出発しました。震災後は臨時便対応体制の仙台空港に近づくに連れて、眼下に大津波被害の光景が目に入ってきます。空港からはタクシーで、「段差走行注意」の標識が続く仙台東部自動車道(大津波被害を2次的に食い止めた仙台平野内部で防波堤の役目をした)を走り、宮城県歯科医師会館へ急ぎました。会館到着後直ぐに、関係者への挨拶もそこそこに19時30分から、今回の作業についての事前説明が2時間行われました。
翌日からの作業については、それなりの心積もりはしていましたが、大規模災害身元確認班担当者の熱心な説明・真剣な態度に改めて重責な任務を引き受けたと感じました。その中で「ご遺体をご家族のもとに一刻も早くお返ししてあげたい」という言葉は、作業最終日まで響き続けていました。
福岡県歯会からの4名の派遣員は2名2組のグループに分けられ、13日から17日までの5日間の作業でしたが、私のグループは、南三陸町・気仙沼・石巻の3ヶ所の検案所に出向きました。3ヶ所とも震災後の道路事情が悪いので仙台からの車移動が長く、それだけで一日終わったような気になります。
私たちの今回の作業内容は、ご遺体の歯科所見採取、口腔内写真撮影、X線撮影、歯科照合作業の4点です。この3年、県歯会でも、警察歯科医研修会においてデンタルチャート作成や照合の実習を行っていました。宮城県での記録は日歯様式の歯牙歯式記録でなく「福島様式」といわれるもので、歯牙形態が立体的に書かれて歯牙歯根所見の記入は無いです。日々の診療予診でカルテ1号紙に歯式記載する要領に似ています。また、口腔内写真もX線撮影もデジタル式のために、現場で撮影結果が確認できるのは助かりました。
ところで、震災から3ヶ月が経過し遺体の傷みが進んでいて、それなりに現場の厳しさを感じるとともに、今回のような大規模災害で私たち歯科医に求められそして応えなければならないことを沢山体験できたと思います。ここ6年、県歯会学術部の立場で勉強させられたことですが、全国的に福岡県の警察歯科医活動はあまり活発ではないと感じていましたので、特にこのような大災害・事故の有事に対する組織作りと機能強化、活動できる人材の確保・研修、大学や自治体など関係団体との連携等々、派遣された私たち4名は、いろんな所で現場での体験を基に、これから活動を展開するにはいろんな問題があることを伝える必要があると思います。
詳細は、8月に配布されます「河童」をご参照ください。